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コラム

第95回:これからのクラウド利用とモダナイゼーションを考える

アイビーシーは、会社設立 20 年の節目の今期から、会社の MISSION として【IT 障害をゼロにする】、VALUE として【IT 活用で永続的に成長し、事業・社会へ貢献する】を掲げ、当社の強みであるネットワーク、インフラの監視をベースにした製品・サービスの展開に加え、クラウドやネットワークのインテグレーション事業の拡大も進めています。

その中で、今回のコラムでは、IT 市場とクラウド、モダナイゼーションについてお話しできればと思います。

まずは、IT 市場に関してですが、新型コロナウイルス感染症の流行が大きく影響し、国内企業の 2019 年 ~ 2020 年の IT 投資は抑え気味のようでした。2020 年 ~ 2021 年も、引き続き、コロナの影響が継続したため、厳しい状況が続いたかと思います。しかし、この 2 年間、コロナの影響で、経済の先行きが不透明なために投資を抑制していた企業も 2022 年以降は徐々に IT 投資に前向きに動き出すのではないかと思います。他方、クラウド市場は、今後、ますますの成長が見込めると市場となっています。多くの市場調査では、前年度比で約 20% の成長が見込まれている程です。

ここで、企業におけるクラウドサービスの利用動向を見てみましょう。以下は、総務省による調査の結果ですが、2020 年では、約 7 割の企業がクラウドサービスを利用しており、「利用していないが、今後利用する予定がある」との回答と合わせると 8 割近い企業がクラウドサービスを利用中もしくは利用予定という状況が見て取れます。

 

出典:総務省「令和3年版 情報通信白書 クラウドサービスの利用状況」

 

さらに、既にクラウドサービスを利用している企業のうち、「非常に効果があった」、「ある程度効果があった」と回答した企業の割合は 87.1% となっています。
こうした結果からも、今後、ますます、企業のクラウド利用が拡大していくと考えられます。

 

出典:総務省「令和3年版 情報通信白書 クラウドサービスの効果」

 

実際、クラウドベンダー様などとお話ししていても、お客様からクラウドの案件の相談はいただくが対応できるリソースが不足している、と伺うケースが増えています。市場としては伸びていく中で、リソースが不足しているということは、ベンダー側の立場で考えると “いかに対応できる体制を作れるか” 、お客様の視点で考えると “相談できるクラウドベンダーを既存ベンダー以外にも作っておくこと” 、が大切になるのではないかと思いました。

また、このクラウド市場が成長していくポイントの一つとして、『モダナイゼーション』がキーワードになると考えています。この数年、DX 関連の流れの中でモダナイゼーションの取り組みが増えてきています。

※ モダナイゼーション…企業の情報システムで稼働しているソフトウェアやハードウェアなどを、稼働している資産を活かしつつ、最新の設計や製品に置き換えること。

実際には、提供されているサービスやパッケージ、社内で活用している情報システムなどに、元々開発されたソフトウェアに機能やサービスの追加、改修を継続して対応してきているソフトウェアは少なくないと思います。このサービスやシステムが開発や稼働開始から 10 年近く経つと、当時開発に関わったメンバーが退職してしまったり、あるいは、機能の追加や改修を繰り返した結果、システム/サービスの規模が大きくなりプログラム全体を把握できる人材がいないという状況になってしまっていたり、と、システムがブラックボックス化していることも多いようです。プログラムの全体像が把握できなくなってしまったためコンサルティング会社がシステムを分析し、再構築に動き出す、というケースもあるようです。
こうした課題を解決する方法の一つとして、メンテナンスなどをしやすい新たなサービスやシステムを開発する際のインフラはクラウドを活用するケースが増えてきているように思います。

また、モダナイゼーションを進めるにあったっては、オンプレミスでの展開も考えられますが、コストや汎用性などを考えクラウドを選択する企業が増えてきているようです。

 

次に IT 業界の人材の推移について見ていきましょう。IT 業界の人材についてはグラフのとおり、大きく人材が不足している状況です。また、その中でもデータ分析やネットワークなどをはじめクラウド関連の人材不足が考えられます。

 

出典:経済産業省「IT 人材需給に関する調査(概要)」

 

上記は経済産業省が公表している IT 系人材の推移になります。需要の状況によって必要とされる人数に違いがでるので、高位シナリオ(需要の伸び:約 9 ~ 3 %)・中位シナリオ(需要の伸び:約 5 ~ 2 %)、低位シナリオ(需要の伸び: 1 %)の 3 段階のシミュレーションとなっていますが、低位シナリオの場合でも 2030 年には 16 万人の人材不足になる予想となっています。

 

国内企業は IT 投資に前向きになり始めている ⇒ クラウド市場は伸びている ⇒ モダナイゼーションの流れなどでクラウド案件が増えつつある ⇒ しかし、クラウド人材が不足している

という流れがある中、先にも述べましたが、クラウド市場が伸びていくにも関わらずリソースは不足しているということは、ベンダー側の立場で考えると、いかに対応できる体制を作れることが大切で、お客様の視点で考えると、相談できるクラウドベンダーを既存ベンダー以外にも作っておくことが大切、となるのではないかと、改めて感じました。

当社の強みの一つに、導入実績 1,000 社以上、IT システム機器の監視数 1,800 万項目以上のライセンス販売実績があります。その強みを活かしつつ、パートナー様とともにお客様の課題解決に取り組んでおります。

「モダナイゼーション」をキーワードとしたクラウドの展開については、話しがでてから数年経ってはいますが、その一方で、まだまだ始まったばかりであると感じています。これからいろいろと本格的な動きが出てくるのではないでしょうか。

当社も、今後は、これまで得意としてきたネットワーク、インフラの監視をベースとしつつ、クラウドインテグレーションを広く展開していきたいと考えております。
お悩み、課題などございましたら、ぜひ、一度、ご相談ください。

 

by インテグレーション部 部長 藤木 孝

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