日々の運用業務の中で、定型的なレポートやインフラ基盤の稼働状態を報告していらっしゃいますか?
インフラ管理・運用をする中で、何かしらの監視製品を利用していらっしゃるかと思います。多くの運用者の方は、監視をおこなう際に、しきい値設定などによるアラート通知のみの運用が多いのではないでしょうか。
System Answer G3 では、1 分間隔で収集した過去 3 年間の非圧縮データを保持し、過去データからの傾向や稼働比較など予防保守に対する対応や分析などがおこなえます。さらに、レポートツールでグラフデータを自動かつ定期的に出力することができます。
ソフトウェア版の System Answer G3 をご利用のお客様では、上記グラフデータや CSV データの出力以外に、アラート情報やランキングなどといった統計データを分析データとして出力いただけます。
今回は、BI ツールと System Answer G3(ソフトウェア製品限定)のデータベースを接続し、以下のようなレポートを出力する方法をご紹介するコラムとなります。
- レポート期間を指定する
- 指定期間のアラート件数を表示する
- 指定期間のイベント件数を表示する
- ランキングの数値を表示する
お試しなどでご活用いただけるよう BI ツールとして、無料で利用可能な Microsoft Power BI Desktop を例とします。
1. Microsoft Power BI Desktop ダウンロードおよびインストール
ダウンロードは、https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/downloads/より取得します。
※ ダウンロードには、Microsoft 社のアカウントが必要です。
ダウンロード後、インストールをおこない、プログラムの一覧から「Microsoft Power BI Desktop」を起動します。
下記画面は、インストール後に「Microsoft Power BI Desktop」を起動した際の画面です。
2. BI ツールとデータベース接続設定
「メニュー」→「ホーム」→「データを取得」の順に選択し、「データを取得」画面から「Postgre SQL データベース」を選択します。
次に、接続先サーバーとデータベース名を入力します。
3. 対象テーブル選択
無事に、データベースへ接続がおこなえましたら、「ナビゲーター」に各テーブルが一覧表示されます。
今回の目的は、「指定期間のアラート件数」「指定期間のイベント件数」「ランキング数値」を表示するため、以下のテーブルを選択します。
テーブル名 | |
public.view_monitor_alert | アラート情報 |
public.view_monitor_event | イベント情報 |
public.view_monitor_ranking | ランキング情報 |
※今回はリレーションを簡略化するため、WEB 画面に表示される view テーブルとしております。
それぞれを選択後、「読み込み」を実行します。
各テーブルを読み込み後に、テーブルのリレーション状態を確認します。
「メニュー」→「ホーム」→「リレーションシップの管理」を選択し、テーブルが接続状態か確認します。
4. 期間対象の作成
アラートとイベント件数の期間を指定したいため、「視覚化」から「スライサー」を選択します。
「スライサー」が画面に表示されるので、選択後に「フィールド」から「monitor_alert_date」カラムを選択します。
※ 「monitor_alert_date」は、アラート発生した日付となります。
「スライサー」に問題なく設定できた場合は、画面のように「yyyy / mm / dd」が表示されます。
5. アラート件数の作成
今度は、アラートの件数を出力するように設定します。
先ほどと同じように、「視覚化」から表示方法を選択します。今回は、「積み上げ横棒グラフ」を選択します。
「積み上げ横棒グラフ」が画面に表示されるため、選択後に「フィールド」から「master_alert_type_name_mb」「monitor_alert_count」「monitor_node_name_mb」カラムを選択します。
カラム名 | |
master_alert_type_name_mb | アラート種別 |
monitor_alert_count | アラート発生件数 |
monitor_node_name_mb | ノード名(マルチバイト) |
「積み上げ横棒グラフ」が問題なく設定できた場合は、画面のようにアラート情報が表示されます。
ただし、このカラム名では分かりにくいため、凡例を右クリックし「名前の変更」で分かりやすい名前に変更します。
6. イベント件数の作成
アラートと同様に、イベント件数も表示させます。
「視覚化」から今度は、「積み上げ縦棒グラフ」を選択しフィールドからカラムを選択します。
今回は、「master_event_type_mb」「monitor_event_count」「monitor_node_name_mb」カラムを選択します。
カラム名 | |
master_event_type_mb | イベント種類 |
monitor_event_count | イベント発生件数 |
monitor_node_name_mb | ノード名(マルチバイト) |
「積み上げ縦棒グラフ」が問題なく設定できた場合は、画面のようにアラート情報が表示されます。
アラート件数のカラム名と同様に、このままでは分かりにくいため、凡例の名前を変更します。
7. ランキング情報
最後に、ランキングは、期間指定が反映できません。そのため、レポート出力のタイミングで、数値を出力します。
「視覚化」から今度は、「テーブル」を選択しフィールドから「monitor_node_name_mb」「master_graph_class_mb」「template_graph_title」「monitor_data_cur」カラムを選択します。
カラム名 | |
monitor_node_name_mb | ノード名(マルチバイト) |
master_graph_class_mb | 監視項目のカテゴリ |
monitor_data_cur | ランキング表示の監視応答値 |
ノード数や項目数が少ない場合は問題ないかと思われますが、情報量によっては「フィルター」から「条件」など選択し、必要に応じ加工してください。作成された内容は、「ファイル」から保存がおこなえ、レポートを出力するタイミングで再度、同じ内容を定期的に出力できます。
今回、Microsoft Power BI Desktop を用いて、定期的なレポートとしてご活用いただけるよう、いくつかサンプルをご紹介いたしました。
監視製品を利用して、リソース変動による突発的な異常検知および通知による運用をされており、その時々による対応や対策は、運用の中で実施されていらっしゃるかと思います。
System Answer G3 では、取得したデータをグラフ化し、傾向分析(トレンドライン機能)や稼働比較(タイムシフト機能)を確認することができます。
ただし、どのようなシステムでも膨大なデータの確認や異常を捉えることは、工数が大幅にかかり見落としが生じます。そのため、アラートからの傾向、リソース利用や品質影響からのランキング、イベント発生における状況といった統計を定期的に出力し比較いただくことで、お客様の環境の変化を捉え、事前に対策や調査などが可能になります。
IBC では、膨大なデータから異常を確認し、安定的なインフラを運用していただくために、お客様が日々の運用にて出力されたい項目をフォーマットとして作成し、レポートを容易に出力できる「Stats Option」を提供しております。
■ Stats Option レポートテンプレート例
外部製品との BI 連携などにご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
by プロダクト&サービス統括部 コンサルティンググループ 課長代理 今川 裕太