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第58回:リモートデスクトップは、結局なにが最適なのか?メリット・デメリットを比較してみました

2020 年あけましておめでとうございます。
今年の大きなイベントは、東京オリンピックになるかと思います。首都圏では、交通網が機能しなくなると噂が立っているため、不安ですね。調べたところ、オリンピック開催時期には 780 万人、パラリンピックには 230 万人が東京に集まるそうです。東京都の人口が 1,400 万人弱なので、開催時期には大きな混乱が予想されます。通常でも交通網が限界であることを考慮すると、交通網がマヒするのもうなずけます。

お客様に東京オリンピックの対策についてお伺いすると、リモートワークについて調査している企業様が多くいらっしゃいました。東京オリンピックだけではなく、昨年、大きく話題になった「働き方改革」も、追い風になっているかもしれませんね。「働き方改革」や「リモートワーク」をおこなう手法として注目を浴びているのが、VDI などのリモートデスクトップサービスですが、実際に導入を計画してみると、イニシャルコストの高さやレスポンス・運用面の問題から踏み込めない企業様も多いのではないでしょうか。

さらに、リモートデスクトップサービスにも RDS(Remote Desktop Services)・ VDI(Virtual Desktop Infrastructure)と種類があり、導入に際しては何が最適かを検討・検証する必要もあります。

そのため簡単ではありますが、RDS と VDI のメリット・デメリットを比較してみました。

■ RDS

メリットサーバー上で動作する VM をユーザーが共有するため、集約性に優れた安価な疑似 VDI 環境が作れる
共同作業型のため、アップデート・再起動に伴うストレージ負荷が少ない
デメリットリソースを共有するため、必ずロックダウン(各種リソースへのアクセス制御)が発生する
高可用性を実現するためには、クラスタ構成など費用が高騰する
別途 RDS CAL(リモート デスクトップ サービス クライアント アクセス ライセンス)を購入する必要がある

■ VDI

メリット個別の仮想マシン(VM)を使用するため、セキュアな環境が構築できる
VM ごとにアプリケーションがリソースを自由に使用できる(ロックダウン不要)
デメリット個別環境のため、莫大なイニシャルコストが発生する
多くの VM 起動やアップデートなど運用保守の負荷が大きい

 

リモートデスクトップサービスは、多くのメリットがありますが、一方でコストの問題が大きいようです。弊社でも RDS 環境で作業をおこなっております。管理者にインタビューしたところ、ハードウェア障害や運用保守が悩みの種だそうです。物理サーバーの存在や OS のバージョン管理、人員増加による設備投資や準備など、話し始めたら止まらないほど現場の運用は大変なようです。

そんな悩みを解決するかもしれないソリューションとして Microsoft 社が昨年発表したのが、DaaS(Desktop as a Service)として提供される WVD(Windows Virtual Desktop)です。

特長は、Microsoft Azure 上で実行される DaaS 環境の提供という点になります。RDS や VDI でもオンプレミス(データセンターや自社内)にサーバーが残っている限り、リプレイスや運用保守は逃れられない課題となります。しかし、パブリッククラウド上の WVD では、当然そんな悩みからは解放されます。

下表の通り、WVD は RDS と VDI のいいとこどりを実現しています。さらに、WVD は Office 365 に最適な形で設計されていますので、従来の RDS と VDI の懸念点であるアプリケーションのパフォーマンスが発揮されないという心配はありません。そのため、運用現場はユーザーからの「遅い」というクレームから解放されるかもしれません。

 

 

WVD は、Azure 環境上のリソースプールに対してアクセスします。アクセス数増加によるスペックの拡張もパブリッククラウドのため、非常に短いリードタイムで実行することが可能です。また、コントロールプレーン(WVD 管理機能)も Azure ポータル上から管理できるため、画面管理を一括でおこなえます。加えて、WVD は Active Directory が必須となっており、Azure のサブスクリプションとディレクトリ情報を参照することで、セキュアかつ可用性の高い環境で利用できます。

 

 

また、既存のライセンスの持ち込みである BYOL(Bring Your Own License)も可能です。

■ WVD ライセンス

  • Microsoft 365 E3 / E5
  • Microsoft 365 A3 / A5 / Student Use Benefits
  • Microsoft 365 F1
  • Microsoft 365 Business
  • Windows 10 Enterprise E3 / E5
  • Windows 10 Education A3 / A5
  • ユーザーあたり Windows 10 VDA
  • アクティブなソフトウェア アシュアランス(SA) 付きの RDS CAL ライセンス

※ Microsoft 365 E3 / E5 / F1 、Microsoft 365 A3 / A5 / Student Use Benefits 、Windows10 VDA ユーザーライセンスをお持ちの場合は、Windows 10 Pro 以外の端末からでも Windows Virtual Desktop にアクセス可能です。

オンプレミスとの最大の違いは、使用時間外はインスタンスを停止させることで、不要な課金を抑えることができ、リザーブドインスタンス(予約割引)を利用することで、最大 72 % の割引が可能になるなど利用頻度に応じて課金を選択できることです。

弊社では、小規模単位での PoC(検証)用のパッケージもご用意しております。まずは、部署内や少人数でご利用いただき、レスポンスや実際の使い心地を試すのも良いかと思いますので、ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

by プロダクト&サービス統括部 SAMS サービス部 関 貴紀

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