COLUMN

コラム

第50回:問題個所の早期発見と改善に向けて

秋涼の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

最近は、温暖化の影響で、10 月でも猛暑が続いているような気がして調べてみたところ、観測記録は 1875 年より始まり、今まで 10 月に 30 ℃ を超える真夏日を記録したのは、15 日しかないとのことです。140 年ほどのデータ量の中で 15 日ですので、およそ 10 年に 1 回の割合で発生する非常に稀なケースですね。

去年も暑い日があったと思うから、、と感覚で過ごすのか、データを見て判断するのか、皆さまはどちら派でしょうか?

さて、今回のコラムは、6 月に発表した Stats Option についてご紹介いたします。

System Answer シリーズのオプション製品としてリリースした Stats Option は、System Answer で取り溜めた情報を、さまざまな切り口でレポートするためのツールです。System Answer で取得した膨大なデータを集約し、レポートの自動生成・自動更新、収集データの掘り下げをおこなうことができます。

Stats(統計)という単語を改めて調べてみると、「集団現象を数量的に把握すること。一定集団について、調査すべき事項を定め、その集団の性質・傾向を数量的に表すこと。(大辞林)」と定義されています。言い換えれば、一定量の情報を数値として把握できる状態を指しています。

ここで認識しておくべきことは、「調査すべき事項を定め」というところにあります。例えば、時系列の数値データを何の脈略もなく 1 つの箱に入れただけでは、問題点が浮き彫りになることはありません。期間、項目、傾向値などといった枠を決めることによって、多角的な視点からの判断が可能になり、問題点を絞り込むことができます。

月次報告などで、KPI やインシデント数といった項目の推移を比較して、数値の上下から要因分析をおこなうことがよくあります。これも、一定の時間帯における項目を定点観測して、改善をおこなうための統計情報の収集ということになると思います。

しかしながら、問題の特定や要因分析、解決するための課題設定により多くの時間を割くべきところを、現実には、報告のための集計に工数を割いている状況は、まだまだ多く見られます。

そこで、System Answer のデータを素早く取りまとめ、レポーティングし、インフラ全体の問題点を可視化できるソリューションとして、Stats Option をリリースさせていただきました。

 

 

データ量という観点でみると、System Answer は 1 分間隔で性能情報を収集しておりますので、数値データを膨大に保持しています。

例えば、中規模程度のお客様で、およそ 30,000 項目弱の監視項目(性能情報の取得数)を登録して運用いただいておりますが、1 日分のデータとしては 4,320 万レコード(60 分 × 24 時間 × 30,000 項目)となり、1 ヶ月では、約 13.4 億レコード(60 分 × 24 時間 × 31 日 × 30,000 項目)にも達します。

このレコード数の中から、問題点や変化点を見つけるには、少なくとも、時間軸と 2 つの値が必要になります。具体的には、同一期間における最大値と平均値での問題点の把握、先週と今週における平均値での変化点の把握などで判断します。さらに、ノード単体で見るのか、監視項目別に見るのか、もしくはアラート種別で見るのかというところでも、特定する問題へのアプローチは異なりますし、アプローチの仕方が誤っていれば、原因に辿り着くことが難しくなっていきます。

そんな時に効果を発揮するのが、Stats Option に組み込まれているレポートフォーマットです。

例えば、通信の品質に直結する廃棄パケット / エラーパケットの発生状況、CPU / メモリー / ストレージなどの性能情報の傾向値、しきい値超過やタイムアウトの発生状況などを、日次・週次・月次といった時間軸で比較することができるため、さまざまな視点からインフラ全体の状況を把握することが可能になります。

また、Stats Option の期間データから System Answer 側の時系列データを確認することも可能であるため、継続性の有無や、その事象に対して対処する必要があるのかないのかも、容易に判断することができます。

Stats Option には、アイビーシーが手掛けてきた数多くの有償レポートコンサルティングのノウハウに基づき、汎用的に利用できるテンプレートが用意されております。このテンプレートの情報は、適時自動更新されるため、現在の状態が容易に把握でき、タイムリーにインフラの運用改善に役立てることができます。

アイビーシーは、「情報の可視化」をキーワードに製品やサービスの開発を進めてまいりましたが、さらに「情報の見せる化」という観点も加え、引き続きデータを価値ある情報に変えるための取り組みを加速してまいりますので、製品のトライアルやご要望などございましたら、お気軽にお声掛けいただけますと幸いです。

by プロダクト&サービス統括部 コンサルティンググループ 主任 廣田 雅史

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