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第27回:性能品質を把握する手法とは

前回のコラム連載版2回目では、性能監視の分析の捉え方をご紹介させていただきましたが、コラム連載版3回目では、性能情報の中で「品質」がいかに重要かということをご紹介させていただきます。

インフラを管理される方は、以下のような経験をお持ちではないでしょうか。

・本社・支社間が繋がりにくい
・ファイルサーバーへのアクセスが遅い
・時間帯によってサイトへ繋がりにくい
・新製品のリリース後等で混雑によりサイトが表示できなくなった

上記のようなケースの場合、社員の方やお客様からクレームが入ったり、ショッピングサイト等インターネットビジネスを展開されている企業にとってはビジネス機会の損失に繋がり、システムの「品質」が問題視されるだけでなく、会社のイメージの悪化ということにも繋がりかねません。

そこで実際に社内システムを使っている社員の方の目線、サイトにアクセスしてくるお客様の目線に立った時に、システムへのアクセスが早いか遅いかという応答時間を数値化して、システムの品質を把握するのが「レスポンス監視」です。
レスポンスが早いか遅いかを判断するには、個人個人の感覚の違いにもよりますし、またCPU・メモリー等のリソース監視や、トラフィックを監視するだけでは把握するのは難しいと思いますが、レスポンスを数値化して監視することで「品質」に問題はないのかを常に把握することができるだけでなく、基準値を策定することでSLAを定めることができます。

では、品質を把握できるレスポンス監視はどのような手法で行うかを、「System Answer G2」と「今日のレスポンス」でご紹介いたします。
サーバーとクライアント(サーバー)間の通信には、大きくネットワークの遅延とサーバー内の遅延があり、ネットワーク遅延に関しては「ICMP」、サーバーアプリケーションの遅延は「HTTP」「DNS」等のレスポンスを計測することで、ボトルネックがネットワークなのか、サーバーアプリケーションなのか、切り分けを行うことが可能です。
ネットワーク環境に対しては、各機器への「ICMP」のレスポンスを監視することにより、どの機器のレスポンスが悪いのか簡単に把握することができます。ある機器に対してのレスポンスが悪かった場合、機器自体のスペックが低いためなのか、使用している回線が影響しているのかという切り分けにも利用できます。レスポンス監視をしていない場合、機器なのか回線なのかという判断材料がないため、切り分けが難しくなることでしょう。
WEBシステムに対しては、当社が提供している「今日のレスポンス」というサービスをご利用いただくことで、お客様がWEBシステムにアクセスする状況と同じ目線でレスポンスを把握することができます。
リソースやトラフィックの性能部分の監視と組み合わせて、性能と品質の両方のデータを収集することで、システムに何が起きたのかをより詳細に把握することが可能です。
また、「System Answer G2」および「今日のレスポンス」でレスポンス監視を行うことで、レイテンシーを把握することが可能になります。
レイテンシーではランクA~Eで色分けをして、それぞれのランクに〇〇msという基準値をお客様にて設定して、ランクによって色分けしたグラフを表示することが可能ですので、レスポンスに関してより詳細な情報を得ることができます。
「国際電気通信連合電気通信標準化部門」からG.114として勧告されている指標として、片方向の全体的な遅延には 150 ミリ秒が推奨され、プライベートネットワークの場合は、200ミリ秒が適切であり、250 ミリ秒が最大値として定められていますので、「System Answer G2」でレスポンスを計測する場合、上記数値を目安に基準値を決めて監視しては如何でしょうか。

WEBページのレスポンス監視を実施する場合、閲覧してくる方の場所、インターネット回線、WEBページの仕様によってレスポンスは変わってきますが、ある調査会社の報告では、レスポンスは2秒以内に留めることを推奨しております。
また、レスポンス監視を行いグラフ化することで、どの時間帯にレスポンスが早いか遅いかの揺らぎを把握することができますし、WEBシステムの繁忙期にレスポンスを数値として把握することが可能になります。
WEBシステムや社内システムのレスポンスおよびレイテンシーを数値として把握して、システムの品質をより良くするためにも、機器のリプレースやシステムの構成変更等を考慮していく要素の一部として、レスポンス監視を実施してはいかがでしょうか。

次回は、収集した性能情報や品質をどのように管理・運用していくかというノウハウをご紹介させていただきます。

by 技術部技術課 矢野 孝宏

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