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コラム

第17回:物理サーバーと仮想サーバー

昨今のデータセンターのサービスは、「専用サーバー」あるいは「VPS(仮想専用サーバー)」とうたったサービスが多く、その選択を利用者側にゆだねているケースがほとんどです。今回は、これらのサービスに対するニーズと運用の苦労について、監視という視点から書かせていただこうと思います。

データセンターサービスを利用するユーザーの観点から考えてみると、

・「専用サーバー」では、ハードウェアの運用管理からトラブル対応まで、有償・無償の範囲はあるが専門の部隊が対応してくれるサービス

・「VPS」は、データセンターのクラウド基盤上で稼働する仮想サーバーを提供してくれるサービス

という印象を持っている方が多いのではないでしょうか?私はそういう印象を持っています。

この印象を紐解いていくと、データセンターサービスではハードウェアというものは見えなくなり、クラウド基盤上にある仮想サーバーはデータセンターが持っている大きなシステム、極端に言ってしまえばハードウェアから解放された状態になっています。

数年前は、「クラウド=“得体のしれない雲“」というイメージの会話をよく耳にしましたが、今では、仮想化によってハードウェアのトラブルから解放されたプラスのイメージが強くなってきているのではないでしょうか?しかも、コスト面では年々安価になってきています。

しかし、データセンター内の運用から見た場合は、

・「専用サーバー」は、1物理サーバーあたり、1個別ユーザー

・「VPS」は、1物理サーバーあたり、複数ユーザー

です。

もちろん、クラスタやライブマイグレーションといった機能で、可用性・保全性を守る技術が急速に進化していますが、1トラブルで発生するリスクは急激に大きくなってきています。ハードウェアが進化し、1物理サーバーあたりの収容サーバーが増えれば増えるほど、このリスクは大きくなる一方です。

データセンターサービスにおけるサーバー監視の手法は、これまで死活監視が中心で、ユーザーの要望により性能情報を監視するマネージドサービスが別メニューで用意されています。「専用サーバー」の運用ではこれでよかったのですが、「VPS」ではいざという事態の影響範囲があまりにも大きすぎます。うまくライブマイグレーションができれば、サービスは継続的に利用できユーザーへの影響は最小限ですが、オーバーコミットを行っている場合はリソース不足でマイグレーション後に起動できないというケースがあります。

こういった事態に対応するためにも、仮想サーバーを物理サーバーと同じ目線、同じレベルで管理・監視を行う必要があるのではないでしょうか?

以前から運用監視では、「ネットワーク監視」と「サーバー監視」に部隊が分けられている場合が多くありましたが、現在では「サーバー監視」を物理サーバーと位置づけ、新たに「仮想サーバー監視」部隊が設けられるケースが増えてきているように思います。仮想サーバーをどう管理、監視、運用を行うかは、データセンターだけでなく、仮想化システムを導入・検討している企業でも、大きな課題となってきています。

弊社でも、System Answer G2における仮想化システム監視機能の開発が最終段階に入っています。物理サーバーを監視するイメージで、ハイパーバイザーや仮想サーバーの状況を把握し

◇仮想化システム基盤全体として、リソースの状況はどうか?

◇ハイパーバイザー単体でどうか?

◇仮想サーバー(ゲスト)単体でどうか?

◇このシステム基盤にどのくらいの仮想サーバーを追加できるか?

◇このゲストは使用状況が激しいから、別のハイパーバイザーに移動し、分散した方がよいのでは?

◇ライブマイグレーションによってゲストが移動した場合、移動元のホストをキーにどこに移動すればよいか、
現在の稼働状況はどうか?

など、管理者が日々の運用の中で「把握したい内容」を「いかに簡単に」を心がけて開発を進めております。

さらには、この仮想化システム監視の取得情報にも、ベースライン監視の機能を結びつけ、仮想サーバーの「いつもと違う」を検知できる仕組みを取り入れていく予定です。

この数年に大きな変化を遂げているコンピュータシステムに対し、管理・監視といった運用が非常に重要になってきています。停止を検知する従来の死活監視手法では、小さなトラブルが大きなリスクに発展するシステムには対応できない状態です。

アイビーシーの考える「性能監視」が、こういったシステムの運用に少しでもお役に立てればと考えております。

次回のテーマは「Speedy Action」です。

by 開発部 北村 博

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