CASE STUDY

導入事例・導入実績

日本最大の証券取引市場を支えるネットワークの安定稼働
~ JPX グループの基幹ネットワーク「arrownet」を守り続けて 13 年間 ~

System Answer G3
金融・保険業

株式会社 東京証券取引所

株式会社 東京証券取引所

株式会社東京証券取引所は、日本最大の証券取引所。ニューヨーク証券取引所・ロンドン証券取引所と共に「世界三大市場」と呼ばれ、日本経済だけでなく世界経済の中枢となっている。日本取引所グループのうち、企業株式を中心とする有価証券が売買される現物市場を受け持つ。

株式会社 東京証券取引所

設立
1949 年 4 月 1 日
資本金
115 億円
所在地
東京都中央区日本橋兜町 2 番 1 号
事業内容
有価証券の売買を行うための市場施設の提供
相場の公表および有価証券の売買の公正の確保
その他取引所金融商品市場の開設にかかわる業務
導入内容
開始
▼ System Answer 使用開始:2009 年 7 月
▼ System Answer G2 使用開始:2015 年 2 月
▼ System Answer G3 使用開始:2022 年 4 月

■システム概要

現物株式などの売買取引をおこなう「arrowhead」や「ToSTNeT」、デリバティブ売買取引をおこなう「J-GATE」などの売買系システム、その他清算系システム、情報系システムなど、日本取引所グループ(東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所など)におけるすべての通信はarrownetと呼ばれるネットワークシステムを基幹として稼働している。取引参加者やベンダーとの通信、各システム間の通信、監視端末等の接続なども arrownet を経由しておこなわれる。

この arrownet を構成する数百台におよぶネットワーク関連機器を System Answer G3 で監視している。G3 の設定・管理等は東京証券取引所の IT 開発部情報システム担当が担っており、日々の運用には情報システム担当のみならず IT サービス部をはじめとする運用部門や関連ベンダーなど数十名におよぶメンバーが利用している。

導入背景

2007 年ごろ、東京証券取引所において株式売買システムである arrowhead の開発に合わせ、高速かつ高信頼なネットワークシステムとして arrownet を開発する計画が始動した。ネットワークシステムとその監視システムの構築、維持・運用の計画を立案していく中で、機器の異常をいち早く検知し、システムを止めずに先回りの事前対策をおこなうには、ネットワーク機器・サーバーのパフォーマンス情報などの性能データの管理が必要であった。

それまでのネットワークシステムでは一元管理した監視システムはなく、障害が発生した際には SE の判断でトラブル原因の範囲にあたりをつけ、機器のログを調査したりパケットキャプチャによるトラブルシュートをおこなっていた。そのため、維持・保守・運用に多くのメンバーが携わることになる arrownet では、誰でも障害原因の絞り込みや切り分けをおこなえる性能管理ツールが必要であった。また、JP1 などの統合監視ツールは元々使用していたが、これらの用途は主にアラートのメッセージ検知であった。そこでいくつかの性能監視ツールを調査した結果、『死活監視からの脱却』をコンセプトとし、Web GUI で手軽にネットワーク全体の可視化を可能にする性能監視ツール「System Answer(初代)」を知り、導入を決定した。

採用理由

① 導入が簡単

OSS や海外製品では、運用担当者が自ら MIB 情報などを調べなければならず、属人化や設定ミスなどのリスクが発生する。System Answer は各社の MIB テンプレート(現在は 128に対応があらかじめ用意されているので、設定ミスがないのはもちろん、監視登録の工数を削減することができた。

② 誰でも扱いやすい GUI

どの機器がどこに繋がっているのか、アラート発生個所はどこかを一目で把握でき、Web GUI 上でクリックしていけば自分の見たい機器にすぐたどり着ける。多くのメンバーが携わる arrownet のネットワーク運用においては、経験年数や担当部門に関わらず全員が扱いやすいツールであることが重要であった。

③ グラフ表示の素早さ

複数のグラフを見比べながら状況分析をおこなう場合、他社ツールと比べて表示速度が非常に早いことが役に立っている。System Answer のグラフは表示期間を選択するとほぼ瞬時に描画され、期間を変更してもすぐに反映されるため、ストレスフリーに使用できる。

効果・感想

◆性能情報を日々管理し、障害の予防へ

arrownet に流れる通信には売買システムの相場情報などの取引に不可欠な重要情報が含まれ、数秒でもシステムが停止すると投資家にクリティカルに影響を与えてしまう。例えばネットワーク機器のバッファーメモリーがいっぱいになって溢れてしまった場合、一般的な業務通信であればデータを再送すれば済むが、株式売買においては投資判断に支障をきたしたり、約定通知(売買成立の通知)が遅れたりする可能性がある。日ごろから機器の性能情報を蓄積し、将来的な障害の予兆を検知して事前に対策することで、トラブルを未然に防ぎ、決して止まってはいけないシステムの安定稼働を実現させている。

 

◆JP1 との棲み分け

JP1 は障害検知、System Answer は性能監視という形で使い分けている。JP1 から挙がってきたアラートメッセージをもとに System Answer で詳細調査および原因特定をおこなう。System Answer でなければ検知できないエラーパケット、廃棄パケットなどの性能データのアラートもすべて JP1 に集約して監視している。

 

◆設定変更作業にかかる時間を大幅短縮

System Answer G3 で実装された自動登録機能により、機種ごとにあらかじめテンプレートを作っておけば、新しい機器がリンクアップした際に自動で監視を始めることができるようになった。自動登録と CSV 登録を場合に応じて使い分けることで、設定作業に掛かっていた時間を大幅に短縮することができた。

 

今後のプラン

現在、各ネットワーク区間のトラフィック量を日次と月次でまとめたレポートを作成して分析し、帯域増強の要否や、障害の予兆となる挙動が無いかの判断に使用している。また、arrownet のネットワークを提供している一部顧客(金融他機関)に向けたネットワーク使用状況の定期レポート作成にも活用している。顧客向けレポートは G3 内で機器に紐づけられたユニーク ID から各機器のデータを CSV で出力し、専用の Excel マクロで生成している。

System Answer の API オプションでは、ボタンひとつで簡単に Word 形式のレポートを生成することができる。G3 で取得しているデータであればトラフィック量以外の性能情報も取りまとめることができ、顧客向けレポートの作成においては担当者の工数削減も望めるので、今後はこれまでのレポートと G3 のリアルタイム性のあるレポートを併用して、障害のおこらないシステム運用と更なる高度化を目指していきたい。

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