IBC が開発・販売するシステム情報管理ソフトウェア「System Answer G3」は、2021 年 9 月より順次、システムの未来を予測する新機能:将来予測オプション「キャパシティ予知」、「昨対比較」、「変動検知」をリリースしています。そこで、この将来予測オプションについて全 3 回にわたって詳しくご紹介していきます。第 2 回目となる本コラムでは、「昨対比較」についてご紹介します。
年の瀬も間近になって参りましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
このコラムが掲載される頃には、EC サイトの管理者の皆様にとって、今年の処理件数がピークに到達する状況でしょうか。あるいは、情報システム関連における来年度の予算要求に伴うエビデンスの確保などに尽力されている状況ではないでしょうか。
今年度のシステム稼働状況は、想定していた範囲に収まっていましたか ? 突発的に機器性能のピークに達してしまった月があったり、今後の見通しを判断するのに手間が掛かっていたりしませんか。手掛かりも何もない状況では先を見通すことは困難ですが、過去の正確なデータがあれば、それを基に将来の方向性を見極めることが可能になります。
さて、今回のコラムは、2021 年 8 月に発表いたしました将来予測オプションの 1 つである「昨対比較」機能をご紹介させていただきます。
「昨対比較」機能は、昨年(前年)の月別の実績値と今年の経過月の昨対平均倍率を算出し、昨年の値に掛け合わせることにより、将来月の予測値を算出する機能です。また、この予測値がしきい値を超過する際に、アラート通知をおこなうことができます。
昨対比較 イメージ
突然ですが、皆さんに「昨年との比較」について、システムの性能とは少し違った角度から質問します。
・ 昨年と比べて、今年の家賃の支払額に変化はありますか ?
この問いは、生活に大きなインパクトのあると思いますので、変化のあった方は(変化点を覚えていて)すぐに回答できるのではないでしょうか。
では、次の質問はいかがでしょうか。
・ 昨年と比べて、今年の水道料金は増加・減少していますか ?
・ 昨年と比べて、今年のガス料金は増加・減少していますか ?
・ 昨年と比べて、今年の電気料金は増加・減少していますか ?
ここで、「昨年と比べて全体で 〇〇 円増えている、△ 月は ××(イベント)があったから一時的に増えている」 などと正確に回答ができる方は、しっかりデータを取って、比較し、傾向を把握されているのだと思います。
一方で、変わっていないと “思う” という回答である場合は、一度、データを収集して比較をしてみてください。季節によって料金に大きな差があったり、生活スタイルが変化したためにベースが上がっていたりと、月ごとや年間を通して見ると様々な変化・変動に気付くと思います。例に挙げた水道光熱費は、月に 1 回、各料金通知の集計で確認できますね。
ですが、システムの性能情報はいかがでしょうか ? 定期的に比較・判断するために、どれだけの工数が掛かってしまうでしょうか・・・。
定期的な比較・判断できた方がいいとはいえ、膨大な工数をかけることはできませんよね。しかし、System Answer G3 の「昨対比較」機能を利用すれば、今期の将来月において、しきい値や性能のピーク値に達する可能性がある項目が自動的に判断され、ログを残すことができます。
アラート通知については、任意でメールや Teams・Slack への通知がおこなえ、超過予測月の一覧やしきい値超過する件数のサマリー情報、また、対象となるグラフの添付ができます。通知内容から対処するべき対象を確認することができ、今後の対応についての判断や指示が可能になります。
System Answer G3 で取得しているすべての監視項目に対して本機能を有効にできますので、対象データはサーバー・ネットワーク関連の性能情報だけでなく、クラウド関連などのデータも対象になります。
設定は簡単で、機能を有効にすれば取得項目全体に対して一括設定できます。また、個別の監視項目のみを対象にして設定することや、データの開始月、比較対象データとしての値(「最大値」・「平均値」のいずれかまたは両方)を個別に選択することも可能です。
エンドユーザー向けのサービスでは「最大値」で将来月のピーク値を確認して増強の判断をおこなったり、変動が少ないと思われるシステムでも「平均値」でベースの利用状況を予測してスペックの増減をおこなう判断材料にすることができるなど、様々な場面で活用できます。
システム運用管理者の方々においては、ある一定程度以上、各システムの傾向について把握されていると思います。しかし、全てのポイントにおける状況まで捉えきれているでしょうか。
ユーザー向けに提供しているサービス関連のシステムはもちろんのこと、バックオフィス関連のシステムをも含めて、今稼働している各システムの性能が逼迫してしまったり品質が低下してしまったりことは、機会損失が生じるだけではなく CS(お客様満足度)や ES(従業員満足度)の低下に直結する問題となります。
システムの性能逼迫が発生した状況で、利用者や契約ユーザー数が増えたことを言い訳にすることはできません。年間のベースを知ること・ピークを知ること、そして今後の傾向を把握することは、システムの安定稼働にとって欠かせないものです。
我々 IBC は 20 期目を迎え、新たなミッションとして「IT 障害をゼロにする」を掲げています。先日のコラムでもご紹介いたしました「キャパシティ予知」機能や、「変動検知」機能を含め、IT 障害を未然に防ぎ、IT システムの安定稼働と運用改善に向けて貢献してまいります。
by ビジネスソリューション事業本部 サービス事業部 インテグレーション部 シニアエンジニア 廣田 雅史