第 40 回、第 41 回のコラムで System Answer G2 の新オプションである Log Option と Quality Analyzer Option についてそれぞれご紹介しましたが、オプション製品に限らず、System Answer G2 と他社製品を連携させることにより、多様なニーズに対応することができます。
今回は、System Answer G2 ユーザー様からお引き合いが多い「アプリケーションレイヤーまでの統合管理」を実現するソリューションについてご紹介します。
System Answer G2 は皆さまご存知の通り、マルチベンダー環境のネットワーク / サーバーの性能監視をおこなうソフトウェアで、予兆検知やキャパシティプランニングに強みを持った製品です。性能データを細かく正確に収集し、それらを簡単に分析できる GUI を持っていますが、アプリケーションやトランザクションデータを取得する機能は実装していません。
そこで、アイビーシーがご提案しているのは「Dynatrace」との連携ソリューションです。
Dynatrace は、全ユーザー・全トランザクションを可視化する PurePath という特許技術を用いることで、短時間かつ確実にパフォーマンス問題のボトルネックを発見することができる新世代型の APM(アプリケーションパフォーマンス管理)ツールです。
ユーザーの属性・操作から DB アクセスまで、エンドツーエンドで一気通貫に紐づけて可視化することで、詳細な分析を可能にします。
システム部門の開発チームや運用チームにはもちろんのこと、WEB アクセスの詳細をビジネス視点で解析することができるため、ビジネスオーナーなど経営者にも役立つ製品として開発されています。
■ 製品画面
上図のようなトポロジーを自動生成し、通信がどの WEB サーバーからどの AP サーバーに流れて、最終的にどの DB サーバーに流れたか、SQL までのトランザクションデータを可視化できるようになります。アプリケーション処理の内容、かかっている時間、その箇所もすぐに確認することができます。
また、データはサンプリングではなく、全トランザクションの情報を保持しているため、リアルタイムな状況から過去を遡っての分析が容易です。
Dynatrace はこれらの情報を設定することなく、自動的に表示してくれるところが特長です。さらに、APM 製品としては唯一日本語対応しているところも魅力です。UI が日本語のため、直観的に操作可能です。
このように、Dynatrace ではアプリケーションの詳細を把握することはできますが、インフラ側の情報は持っていないため、例えばそのサーバー自体に問題がなかった場合、ボトルネックの特定ができません。
インフラの性能監視は別途必要であり、それを補完するために System Answer G2 が役立ちます。
■ 連携イメージ
まず、上図にもあるように、インターネット経由の通信が通るファイアウォールやロードバランサー、そのほか間にあるネットワーク機器は Dynatrace では見ることができないため、System Answer G2 で監視します。
さらに、System Answer G2で取得したネットワークインフラの性能情報と、Dynatrace で取得したアプリケーション処理のトランザクション情報とをリアルタイムにデータ連携することで、システムの全体像を詳細に把握することができるようになります。
また、ユーザー視点でのパフォーマンス状況を System Answer G2 に取り込み、遅延の予兆をアラートで検知することによって、遅延にいち早く気づき、ユーザーに影響がおよぶ前に対処することが可能になります。
【データ連携する理由・効果】
- Dynatrace は全トランザクションを可視化して情報を保持しているが、過去データは長期間保持できない
- System Answer G2 でインフラの性能情報を可視化しているため、Dynatrace で取得した品質情報やアプリケーション情報を System Answer G2 で一元的に管理することにより、性能問題について相関的に判断・対処できるようになる
- System Answer G2 にデータを取り込むことで、分析 / レポート機能をそのまま使用でき、現状と過去との比較や分析を簡単におこなうことができる
【データ連携する手法】
- Dynatrace サーバーが保持している値を API で取得する
- Dynatrace では特定の情報をカスタムグラフでグラフ化できるため、その情報をダッシュボードに保存し、API で値を取得する
アプリケーションの Dynatrace とネットワークインフラの System Answer G2 、各レイヤーの可視化・分析を得意とするそれぞれのツールは補完関係にあり、連携による統合管理には大きなメリットがあると考えています。
今回のコラムでは、実際に連携するために必要な準備や手順などは割愛しますが、設定方法に関する資料やサンプルスクリプトもご用意しています。System Answer G2 のユーザー様はもちろん、ご興味がある方は是非一度お問い合わせください。
by コンサルティング部 明星 誠