COLUMN

コラム

第3回:大規模ネットワークシステム監視への新たな挑戦

弊社は、性能監視の最適化の観点からアプライアンス製品を自社で開発をおこない、販売しております。現状では550社以上のお客様にご利用をいただいておりますが、現在に至るまで、試行錯誤の連続でありました。

初期の性能監視アプライアンス製品であるBTmonitorは、「誰でもが簡単に」そして「詳細なデータを取得」というコンセプトで開発をおこない、リリースいたしましたところ、製造業や官公庁・自治体のお客様を中心にご採用をいただきました。

製品コンセプトは多くのお客様に賛同をいただきましたが、1点要望として多かったのが、取得した詳細データを現状値だけでなく、過去からの推移を含め長期的に把握できないかといった、性能監視でいう「キャパシティ管理」の強化でした。BTmonitorでは1分間隔での監視インターバルならびに取得したデータを間引きせず1年間保存する仕様でしたが、多くのお客様は「先月との比較」だけでなく「前年同月との比較」を要望され、BTmonitorでは対応ができないという問題点がございました。

次製品であるBTmonitor V2では、要望をいただいたキャパシティ管理の強化や、新たな性能監視手法としてレスポンスタイム評価を搭載し、トラフィック管理のみならず、ネットワークやサーバーのレスポンス計測からボトルネックを把握する新たな性能監視手法を提供いたしました。

BTmonitorシリーズは中規模ユーザーを販売のターゲットとしており、機能としてもICTサービスの全体把握というよりも、ネットワークインフラの性能可視化を中心にしており、サーバー管理やシステム全体の把握、アラート管理といった機能を省いていたため、対象ユーザーの拡大に伴い、要望する機能のミスマッチが少なからずありました。

現在販売をしておりますSystem Answer は製品名を一新し、「システムの答えを導く」、システムに潜む問題点を浮かび上がらせ、その答えを導くことを目的として開発しリリースいたしました。

ただ単に性能監視をおこなうだけでなく、いかにシステムの問題点にたどり着くことができるか、新たな取り組みとして、システムのボトルネックを簡単に把握できるレイテンシー分析機能を強化し、サーバーの可視化の強化としてSNMPによるプロセス単位の可視化を実現いたしました。

また、単純に情報を取得するだけでなく、取得した情報を予防保守・キャパシティ管理の考えから把握することのできる比較サマリー機能や、複数の監視ツールを導入する必要がないように、アラート管理の強化も実施いたしました。

さらに、大規模ユーザーでも活用しやすいようBTmonitorシリーズと比較して約2.5倍の監視対象を1台のアプライアンスで対応が可能となり、さらなる大規模ユーザー向けとして複数のSystem Answerを統合できるCentral Monitorを製品化いたしました。

ここまで振り返るとおわかりになるかもしれませんが、弊社製品の成長は、実は対象ユーザーの規模の拡大とリンクしています。また、製品販売だけでなく、アイビーシー(IBC)の社名の1文字でもあるConsultingが示すように性能分析コンサルティングのノウハウを製品機能に反映し、ICTサービスの安定稼働をツールならびにサービスにて提供できないかの試行錯誤の繰り返しをしております。

ここ2~3年での大きな変革としては「クラウドコンピューティング」があげられます。また今年の3月に発生した東日本大震災により、「BCP」(事業活動の継続)の観点からデータセンターの活用の見直しを本格的に検討し実施されております。

我々IBCもクラウドやBCPの観点でお客様のお手伝いができないか、多角的に検討してみましたが、実はSystem Answerでほぼ網羅できていることに気付きました。

ただし、1点対応ができていない分野が、データセンター事業者が運用する大規模ネットワークシステムでした。

弊社では性能監視の観点から、データセンター事業者の皆様の監視状況をお聞きすると、一般的な企業(自治体等も含みます)ユーザーの方とは違う多数の課題をお持ちでした。

大規模データセンターの監視対象システムとしては以下のものが考えられます。

■自社施設のホスト

  • バックボーンのルーター、スイッチといった顧客提供用のインフラ
  • 自社システム

■お客様資産

  • 運用監視サービス
  • レンタル機器(ルーターやFirewall等)の稼働監視

対象ホストを個別にみると、企業ネットワークに比べ非常に多種多様となり、データが集中する箇所となるため、一般的な性能指標での監視が困難な状況となっております。また、運用監視サービスについては、お客様個々の要望や情報の可視化の要望が増え、顧客毎やシステム毎にツールを活用しているため、ツールのみならずシステム個別に対応するための人的なものも含めた管理運用コストが増加している問題も把握いたしました。

いろいろな課題をお聞きしながら、我々が、とある運用者の方からの会話で一番記憶にある言葉が、データセンターの監視とは、「即時検知、即時対応」これに尽きる、というものです。

我々アイビーシーは起業当初からのミッションとして「ICTサービスの安定稼働促進」を掲げており、企業ネットワークを中心にシステムの安定稼働の必要性から、性能監視の啓蒙ならびにツールの開発や、性能分析の観点からのコンサルティングを実施しております。

先にも述べたとおり、クラウドならびにBCP対策としての活用の増加からデータセンターの重要度が今まで以上に高まっている市場性を考え、データセンターを取り巻く課題の解決がアイビーシーのミッションとし、新たな製品の検討をおこないました。

その回答が、7月12日発表した「System Answer G2 Datacenter Ware」となります。

製品機能の詳細は別途このコラムならびにホームページでご紹介いたしますが、今までの性能分析コンサルティングやアプライアンス提供で得たノウハウだけでなく、「即時検知、即時対応」という単純ではありますが大規模システムでは非常に困難な目的に対して、いかに詳細データを収集するか、収集したデータから迅速に根拠となるデータへ把握が可能か、そして導入および運用時に複雑な操作が必要なくおこなうことができるのか、というポイントを機能化の上で重視いたしました。

また、今回の製品はただ単純にツールの販売だけでなく、大規模データセンターの課題を解決するためのコンサルティングサービスも付随したIBCのノウハウを結集したソリューションとなります。

現在いくつかのデータセンター事業者のお客様でご採用ならびに製品テストを実施していただいており、非常によい手応えを感じております。

企業内ネットワークに関しては「System Answer」、企業システムの一部となっているデータセンターやクラウドシステムは「System Answer G2 Datacenter Ware」、我々は製品の販売がゴールではなく、この製品群を活用して「ICTサービスの安定稼働促進」のために、新たなスタートを切ることができました。

製品開発に際し、多くのデータセンター事業者の方々やデータセンターを活用されているお客様の貴重なご意見をいただくことで、新製品の提供を開始することができました。この場をお借りして深く御礼を申し上げます。

そして、アイビーシーは、「安心・安全」なICTサービスを性能監視から実現することで、皆様のビジネスのご支援となるよう、新たな挑戦を進めてまいります。

次回のテーマは「大規模システムに必要な監視とは」です。

by コンサルティング部 塚本 浩之

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