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第23回:フィリピンのITインフラ事情

近年、アジアの経済発展に伴い日本企業のアジア進出が増えています。
海外進出や、海外での新規事業立ち上げなど、業種、業態、規模を問わず、「海外」を今後のポイントの一つにしていらっしゃる企業様も多いのではないのでしょうか。

 

弊社も昨年、フィリピンとシンガポールに海外拠点を設立し、海外へのビジネス展開を進めています。
今回は、私がフィリピンに出張した際のお話させていただきます。

フィリピンは2012年の成長率が6.6%と著しい経済成長を遂げています。
しかし、近年の経済発展のスピード感とITインフラ整備のスピード感にはギャップがあるように思えます。
インターネット環境は日本と比べると繋がりにくく、突然切れることもあるなど、品質は良いとは言えないのが実情です。

 

現地の大手企業のITインフラ担当者と会話をさせていただくと、監視と言えばまだまだ死活監視が中心である印象を受けました。
もちろん性能監視をされていない訳ではないのですが、CPU使用率、メモリー使用率、HDD使用率、トラフィック量などの一般的なものしか取得しておらず、レスポンスといったネットワークの品質に関わる部分は管理されていないようでした。

 

「契約している帯域が、本当に回線事業者から割り当てられているのか知りたい」
現地でこのようなお話をいただきました。

「時間帯によって、割り当てる帯域を変えているため、契約帯域以下のトラフィック量でも頻繁に遅延が発生しているから」というのが理由でした。

 

SNMPによる監視を行う監視ツールでは、機器が持っている情報を取得するため、自社内にあるWANルーターのインターフェース速度や実際に発生したトラフィック量は取得可能ですが、回線事業者の領域で実際に割り当てられている帯域は分かりません。

 

ではどうしたら良いでしょうか。
少し観点を変えて、レスポンスという観点から考えてみてはいかがでしょうか。

機器のレスポンスとトラフィック量を取得することで、例えばトラフィック量は全く変化していないのに、遅延が発生しているということであれば、割り当てられている帯域が減ったために帯域が逼迫して遅延が発生したのではないかと考えることができます。

 

もちろん、自社の機器側に問題が発生した可能性もあります。しかし自社環境の機器全てを一元的に監視して、リソース、トラフィック、エラーの発生などいつもと変化が無いにも関わらずレスポンス遅延が発生した場合は、上記の要因が高いと言えるのではないでしょうか。

このような一見変わった現地特有のご要望も、少し観点を変えて見ることで実現することが可能になります。

 

上記の問題は、ITインフラが整っておらず、回線が細いために発生している問題ですが、このようなフィリピンの状況は、少し前の日本の状況に似ている部分があります。

そのため、これまで培ってきた我々のノウハウを十分に生かすことができると考えています。

今後ITインフラが発展して帯域が広くなると、上記の問題は改善されるかもしれません。
しかし、大量のトラフィックが流れるようになることで、その先にあるネットワーク機器やサーバーのリソース不足が遅延の原因になるということが考えられます。

日本では、サーバーのハイスペック化、仮想化が進み、Disk I/Oがボトルネックになっているように、システムには必ずボトルネックになる箇所が存在します。
そして、どこがボトルネックになっているのかを把握するためには、システム全体を一元的に監視して、取得した情報を分析する必要があります。

System Answer G2や弊社サービスをご活用いただき、フィリピンや東南アジアまたは海外におけるICTサービスの安定稼働の実現に向け、お手伝いすることができれば幸いです。

by 技術部技術グループ 亀山 悟史

次回のテーマは「レポート運用を変えてみませんか?」です。

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