COLUMN

コラム

第16回:ファーストケース

弊社は、「マルチベンダーでのネットワークインフラを可視化する」というコンセプトのもとで性能監視や分析・解析を手がけ、予防保守やキャパシティ管理、運用コスト削減などのバリューへとつなげていく製品やサービスを提供しています。

今回は私自身、日本や海外のネットワークベンダーで約20年営業という仕事をしてきた中での経験から、性能監視の重要性を書かせていただこうと思います。

弊社では現在75ベンダー、2300項目をテンプレート化しておりますが、日本市場にはまだまだ数多くベンダーが存在しています。スタートアップのIT外資系企業も多く存在しますし、M&Aも多い業界です。10年前と比較するとベンダー勢力図も大きく変化しているのではないでしょうか。

そういった中、新たな技術、新たな機能によるITインフラの効率化を実現するために、新たな機器を採用されているかと思います。しかし、新しい製品や新しい技術の「安定性」という面では当然過去から不具合を潰してきた「枯れた技術」にはかないません。

初期ファームウェアや初期のハードウェアにおいて、未知の不具合が隠れている可能性が高いのは周知の事実です。となると、、、、、「ファーストケース」のトラブル、「いわゆる過去にない初めての事象」が出てきます。

このファーストケースは開発したベンダーも理解していないケースが大半だと思われ、
・このコマンドでの結果を出してほしい
・トラブル用の特殊コマンドを叩いた結果を教えてほしい
・etc
となると、不具合解決までに非常に時間を要することとなります。

この不具合解決の時間短縮のために、弊社System Answerは「検証用機材の性能情報を取得するため」にも利用いただいております。事前に機器をお借りして、弊社の技術者が実機を用い、いわゆる標準MIBだけでなくベンダー独自のプライベートMIBを検証し、「正確な値」を返すものだけMIBのテンプレート化をしております。ですから、お客様が実機検証される前にMIBのテンプレート化を行うことが可能となり、より細かな機器の性能情報を取得できます。

何らかの不具合が発生した場合も、「A機能」と「B機能」を動かすと不具合が発生する、または動作がおかしい。その際の性能情報はこの様な状況となる。個別機能では問題ないが、複数機能を動作させた場合には不具合が発生する、またはある数値を超えると動作がおかしくなる、などその事象発生時の至極具体的な数値データで、ベンダーの開発部門へエスカレーションが可能となります。

具体的な数値やデータを提出すればメーカーでの再現試験の時間も短縮でき、現場固有の環境での不具合ではないという切り分けが容易になるので、ベンダーの開発部門を「つつく」ことが可能となります。

同一機器でもメインバージョンアップ時の仕様変更などで動作が異なり、困惑されたご経験もあるのではないでしょうか。数多くのベンダーから数多くの機器やソフトウェアがリリースされますので、性能監視という可視化による分析・解析は重要であると考えています。

そういった中、昨今性能情報に関するお問い合わせが多いのは、ネットワーク、サーバーの「仮想化」についてです。

IDC Japan株式会社が8月2日に「国内仮想化ソフトウェア市場予測を発表」しましたが、
・2011年 国内バーチャルマシンソフトウェア市場は、前年比成長率43.0%の280億円。
・2016年には627億円にまで拡大。
・2011年 国内バーチャルクライアントコンピューティング市場は前年比成長率7.4%の142億円。デスクトップバーチャライゼーション市場は前年比44.8%増。
・ITソリューションベンダーはユーザー企業の仮想化効果を大きく発揮させるために、仮想環境の運用管理ソリューションに注力していく必要がある。
とありました。

弊社も性能監視のIBCから、性能監視+仮想監視のIBCへと進化しております。既存のお客様には近々にアナウンスさせていただきますが、近々に「System Answer G2」というソフトウェアの新機能として「Hypervisor監視」をリリースいたします。ゲストOS 60項目の性能情報、Hypervisor 40項目の性能情報、これが1分間隔で3年間のデータ収集が可能となります。一般的なリソースだけでなく、DiskI/OやDisk Latencyといった本来管理者の方々が必要とされる情報が取得可能となります。

現状のサイジング、今後の拡張に向けて、様々な環境での検証が必須と思われます。また、仮想への投資をお考えのユーザーの方々は、リソースの有効活用や現状把握のために必ず検証が必要となってきます。

ネットワーク、サーバーといった今までのIT基盤の性能監視は当然ながら、サーバー仮想化、ネットワーク仮想化という今からのIT基盤に対しての現状把握や今後の投資に検証が必須ではないでしょうか。また、その検証した期間のデータだけでなく、鳥瞰的な分析・解析には継続した長期間のデータも必要になってくるのではないでしょうか。

新たなIT基盤の検証、構築の際に、ファーストケースの不具合となると多大なる時間を費やしてしまうものと思われます。ファーストケースでの不具合、いつ体験されるかは分かりません。

性能監視による「可視化」・「予防保守」・「性能分析」・「キャパシティ計画」・「ファーストケースのエスカレーションの準備」など、メーカーとして、コンサルティングベンダーとして、我々IBCが10年の経験を元に、少しでも皆様のお手伝いができればと考えております。

次回のテーマは「物理サーバーと仮想サーバー」です。

by 西日本事業所 山本 憲

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