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第33回:VDI環境での性能監視

今回のコラムは、VDI (Virtual Desktop Infrastructure) 環境での性能監視について記載を致します。

クライアント仮想化市場は拡大を続けており、IDC Japan の発表では、金額ベースで2013年は前年比7.6%増の3,826億円、5年後の2018年には倍の7,473億円まで拡大すると予測されております。
2015年には Windows Server 2003 のサポート終了が予定されていますので、今年ならびに来年はクライアント仮想化の導入が加速化するとも見られております。

この市場の裏付けとして、我々アイビーシーにもVDI環境のお問い合わせを多数頂いておりますので、この場をお借りしてVDI環境での性能監視手法をご紹介させて頂きます。

ただ、インフラ観点で見れば、VDI環境だからといって特別な監視手法は必要では無く、システムをいくつかに区分けをし、その区分けごとに性能監視の着目点を明確化する事が重要なポイントになります。

VDI環境でのデータ処理としては大きく2つあり、デスクトップ環境を稼働させる「サーバー群」と、クライアントへ転送する「ネットワーク」があります。

「サーバー群」では、やはり一般的なリソース情報の把握が重要となります。
プロダクトにもよりますが、例えば VMware Horizon View であればHypervisor は ESX となりますので、VDIの基盤となるホストのリソース情報、ならびにホスト上で稼働する仮想クライアントのリソース情報をまとめて把握する事が可能です。
またサーバー群の構成に欠かせないストレージは、個別にリソース情報を取得するケースもあれば、Hypervisorでの Disk I/O や Disk応答遅延(レイテンシー)の情報を計測することも可能ですが、双方の性能情報を取得する事で、ボトルネック箇所を特定しやすくなります。

また「ネットワーク」に関してですが、デスクトップ画面の転送動作で一番重要なのは、遅延が少ないことです。
画面転送プロトコルも製品と共に進化をしており、VMwareの PCoIP や、Citrixの ICA では、使用帯域幅が 数十Kbps ともアナウンスされており、またネットワーク帯域は余裕のあるインフラ環境のケースが多いかと思いますので、画面転送が遅くなったというときには、まずネットワーク上のレイテンシーを把握する必要があります。

先程VDIでの使用帯域が 数十Kbps と記載を致しましたが、あくまでメーカー公表値であり、全画面更新時に実際に計測すると 数百Kbps となるケースもありますので、レイテンシーと合わせてネットワークの使用帯域も把握する事で、ボトルネック箇所の特定ならびに要因を把握することができます。
ネットワーク上の品質の指標となる監視項目も取得する事をお勧め致します。SNMPの標準MIBであれば、Discard / Error が挙げられます。

各ポイントの監視項目を簡単にご紹介させて頂きましたが、各監視項目を網羅的に取得する事はもちろんの事ですが、傾向性を把握する事も重要なポイントになります。

テスト導入時は問題無かったが、利用ユーザー数が増加したタイミングで遅くなってしまうというケースをよくお聞きします。
導入当初から性能データを取り続ける事で、ユーザー数を増やした*月*日からネットワークで大幅に遅延が発生している、といった状態を把握が出来れば、「遅い」という事象に対して何が要因となっているのかを網羅的に取得した監視項目の過去比較をおこない、例えばトラフィックの上昇による遅延の発生といったような要因の特定が出来るかもしれません。
要因が特定出来れば、ネットワークではQoS等の活用や、VDI環境でのフレームレートを下げる、といった改善策を取ることで、トラブルの予防保守に繋がります。
上記対策はユーザビリティ的に対応できる範囲にも限界がありますので、このケースであれば回線見直しを考慮するという事になりますが、過去からの傾向性と今後のユーザー数の増加を勘案し、どれくらいの回線帯域が必要かを分析する事で、適切な投資効果が得られます。

VDI環境の各コンポーネント(仮想基盤やセッション管理等)の把握も当然重要ではありますが、詳細な情報はプロダクトのコンソールでコンポーネントごとの動作を把握する事が可能ですので、データの処理ならびにクライアントへの転送というVDIの動きを考え、今回はサーバー群とネットワークという観点での性能監視手法を記載させて頂きました。

VDI環境の管理をされている方、ならびに導入を検討されている皆さまのご参考になれば幸いです。

by 技術部 塚本 浩之

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